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オーダースーツを仕立てる際、「表地」ばかりに目が行きがちですが、実は「裏地」もスーツの快適さや印象を左右する重要な要素です。デザイン性はもちろん、機能性にも大きく関わるため、しっかりと知識を持って選ぶことが大切になります。この記事では、オーダースーツにおける裏地の役割や素材の違い、選び方のポイントについて解説いたします。
裏地とは、スーツやジャケットの表地の内側に施される別素材の生地のことを指します。通常、表地とは異なる滑らかな素材が使われ、衣服の内部を包み込むように縫製されています。表からは見えない部分ですが、着心地や見た目の美しさにも関わる、スーツづくりにおいて欠かせない存在です。
裏地は、直接肌に触れる部分に近いため、その素材が持つ特性が着心地を大きく左右します。例えば、滑りの良さによって袖を通す際の摩擦が軽減されたり、吸湿性や放湿性に優れた素材であれば、高温多湿な日本の気候でも快適に着用できるでしょう。裏地の選択は、スーツの体感的な快適さに直結すると言えます。
裏地は、表地の裏側からスーツ全体の形を支える役割も担っています。表地の摩擦を軽減し、デリケートなウール素材などを保護することで、スーツが長持ちするよう手助けをしてくれるでしょう。また、型崩れを防ぎ、美しいシルエットを維持する上でも、裏地の存在は欠かせないものです。
裏地は、表からは見えにくい部分だからこそ、自分らしさを表現できる貴重なパーツです。表地の色や柄に合わせて落ち着いたものを選ぶこともできますし、大胆な色や柄を選んで遊び心を加える方も少なくありません。ネクタイを締める際や上着を脱いだ時などにちらりと見える裏地は、着る人の個性を引き立てる魅力的なポイントとなるはずです。
キュプラは、綿花の種子周りのうぶ毛を原料とする、吸湿性・放湿性に非常に優れた高級素材です。独特の滑らかな肌触りと美しい光沢が特徴で、高温多湿な日本の気候にも適しております。通気性も高いため、季節を問わず快適に着用したいと考える方に特におすすめできる素材と言えるでしょう。
ポリエステルは、合成繊維の一種で、比較的価格が抑えられ、耐久性にも優れる素材です。シワになりにくく、速乾性があるため、日常使いのスーツやコストを重視する方に選ばれることが多い傾向にあります。近年では品質も向上しており、以前よりも着心地の良いポリエステルの裏地も増えています。
シルク(絹)は、その高級感あふれる見た目と極上の肌触りが魅力的な素材です。通気性や吸湿性にも優れており、着心地は抜群と言えるでしょう。一方、ウール素材の裏地は、特に秋冬のスーツで保温性を高めたい場合に選ばれることがあります。しかし、これらの素材は、キュプラやポリエステルに比べて耐久性や価格面で注意が必要となる場合がありますので、選ぶ際には考慮に入れるようにしてください。
裏地を選ぶ際には、まず着用する季節や用途を明確にすることが重要です。夏場に着用するスーツであれば、吸湿性や放湿性、通気性を重視してキュプラを選ぶと良いでしょう。反対に、冬場のスーツであれば、保温性を考慮してウール混の裏地を選択肢に入れることもできます。着用シーンをイメージしながら、最適な素材を選ぶことが大切です。
裏地の色や柄は、スーツ全体の印象を左右する重要な要素です。ビジネスシーンで着用するスーツには、表地と同系色の落ち着いた色を選ぶことで、より洗練された印象を与えられます。一方で、カジュアルなパーティーや特別なイベント用のスーツであれば、大胆な柄や鮮やかな色を選んで、自分らしさを存分に表現するのも素敵な選択肢でしょう。
オーダースーツの醍醐味の一つは、細部にまでこだわりを反映できる点にあります。裏地は普段は見えない部分だからこそ、自分だけのこだわりポイントとして選ぶ楽しさが味わえます。例えば、家族の誕生日月に合わせた色を選んだり、自身の趣味を象徴するような柄を選んだりすることで、そのスーツはあなたにとって唯一無二の特別な一着となるでしょう。
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